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English |
| 上海お上りさんの記 |
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| 安延 申 スタンフォード日本センター理事 ウッドランド株式会社 代表取締役社長 |
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| 上海に行った。実は役人時代から中国には、10回前後訪れているのだが、最近は仕事が変わったこともあり、とんとご無沙汰で、その上、上海は訪れたことがなかった。友人・知人から中国、特に上海の変わり方は「スゴイ」と聞かされ、その度に焦りを覚えていたのだが、今回、偶然仕事で訪れた機会に2日ほど延泊して、ようやく念願を叶えることができた。 確かに、上海のダイナミズムはスゴイ。高層ビルの数は、すでにおそらく世界一だろうし、それでも足りぬとばかりに街角のあちこちでは建物の取り壊しと建設が行われている。 (上海浦東地区の新金融街)一方、街の一部には、未だに古い民家のエリアが残り、遙か上空に高層ビル街を見上げる。街角で販売している30円のお好み焼きの屋台に順番待ちの人が列をなす傍らで、一杯の値段が日本と同じスターバックスの座席も満員である(グランデラテで30元=約450円)。住居も高級マンションの値段は日本に近い(広さは大分違うようだが)が、殆ど月額家賃数百円の賃貸住宅に住む人もいる。 (街角のお好み焼き屋台。ただし買っているのは私たち一行)今回、何よりも驚かされたのは、この強烈な二面性、二重性の共存であり、さほど抵抗もなく人々がこれを受け入れているように見えたことだった。月間の所得格差は、おそらく100対1、1000対1のオーダーであろうが、この双方の人たちが、それなりに生活できる空間が一つの街に混然となって存在し、融和しているように見える。これは、日本では絶対に見ることのできない光景である。アメリカも貧富の差は激しいが、おそらくそれ以上であろう。確かに発展途上国に行けば、一部の超富裕者層と一般市民の生活は著しく乖離しているが、中国(上海)の場合は、それが勤労者同士の間でも発生している。つまり「富める搾取者」と「貧しい労働者」の二分法というよりも、なだらかな所得分布になっているのだが、頂とすそ野の間の高度の差が日本の10倍から数十倍くらいある感じなのである。 一つ感心したトピックがある。とあるレストランで食事をごちそうになったときに、よく見ると各テーブルで人々が日本のスクラッチ宝くじのようなものを一生懸命こすっている。なんだろうと見ていると、我がホストも同じような紙を持ってきた。「何ですか?」と聞くと、領収証だと言う。確かによく見ると(読めないが)、「上海市当局発行公式領収証券」みたいなことが書いてある。100元券と10元券の組み合わせで領収額になるようになっており、その左側にスクラッチの欄がある。なんと、これを擦ると「当たり」、「外れ」が出てきて、最高の当たり金額は、3000元(日本円で5万円弱)なのだと言う。これは中国の物価水準から考えれば相当な大金である。これを導入してから、買い物する人、飲食する人がこぞって(使おうと使うまいと)領収証を求め、おかげで商店の側は売り上げをごまかすことが不可能になった(なんせ、お上発行の領収証であるので、その発行残で売り上げは完全に把握できる)。この結果、課税金額の補足率が格段に上がり、税収が飛躍的にアップしたそうである。 ウム。なんという知恵。なんという実際主義。机上の空論は別にして、補足率を考えれば、絶対に公平性の高い税であるはずの消費税(売上税)が、「逆進性が強い」と言われるどこかの国とはエライ違いである。 今回の「上海初見参」で痛感したのは、「この国の市場主義、資本主義は深い」ということである。市場というものを本能で理解し、これをフルに活用するすべを知っているとしか言いようがない。そういう国が競争相手になるのである。これは容易なことではないわいと思ったのだった。ただ・・・・、一つだけ面白い話を日本に帰ってきてから聞いた。これがひょっとするとヒントになるかもしれない。それは、「実は、ハイレベルのIT技術の世界で一番安く良質な技術者(プロジェクトマネージャー)が雇えるのは日本なんですよ。」・・・・ムムムそうか。やはり日本は社会主義の国だったのかもしれない。 |
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